ふるさと納税歴5年の筆者が、医師向けに確定申告上限ギリギリまで計算する方法をまとめました。
あちこちから給料をもらっている医師は、計算できっこない。
計算する方法ってあるの?
今年の年収を正確に計算することで、寄付上限ギリギリまで活用できます。
極限まで活用したい方はぜひ参考にしてください。
こんな方におすすめ
- ふるさと納税をあますことなく活用したい
- 勤務医で、ふるさと納税の利用経験がある
- 給与収入のみの勤務医
この記事からわかること
- 正確にシミュレーションする意味
- 正確にシミュレーションする方法
- 正確にシミュレーションできない場合の対策
ふるさと納税なぜ上限ギリギリまで利用したい?
利用しないのは、ほんとうにもったいないです。
【ふるさと納税をやる意味】
- 2000円の負担で、税金を払う代わりに返礼品をもらえる
- ふるさと納税をカード決済で支払える
参考前回の記事も参照ください
例:1200万円の医師の場合
- 30万円以上の寄付上限=※10万円相当のギフトがもらえる
- 30万円以上の納税をクレカ払い=クレカポイントがもらえる
※ふるさと納税には3割ルールがあります。
これらを、なんの努力もなしに手に入れることができます。
参考医師の所得水準における寄付上限
ふるさと納税のシミュレーションのやり方
こんな方はぜひ計算してみて
- 今年の給料明細が手元にある
- 過去2年分の給料明細・源泉徴収表・確定申告控えが手元にある
- 計算や書類を見るのが苦じゃない
今年の給料明細があれば推測することは可能ですが、精密度を上げるには、過去の書類が手元にあるほうが望ましいです。
寄付上限シミュレーションで必要な項目
確定申告控えを手元に用意しながら、所得と保険料・控除額、家族構成を入力していきます。
ふるさとチョイスか三越伊勢丹のシミュレーションがおすすめです。
確定申告書をまるまる転記で計算できます。
使いやすいほうで計算してみましょう。
所得
👆クリック拡大
確定申告書の㋕給与が年収です。
保険料・控除額
確定申告でシミュレーションは【あくまで過去の答え合わせ】
確定申告の情報から寄付上限が分かりますが、これはあくまで確定申告した年のものであり、今年のものではありません。
【勤務医ならではの注意点】
- ふるさと納税の勘定年は1~12月
- ふるさと納税をする年の年収を計算しながら寄付をする
- 勤務医はあちこちから給料をいただくから年収を把握するにはコツがいる
- 転勤やバイト先の数が変わった場合は前年と年収が同じにならない
- 2021年中に振り込まれた給料がカウント対象
※2020年12月勤務、2021年1月振込は2021年の年収
手取りが前年と変わった医師は、シミュレーションと実際にできる寄付上限が変わる可能性もあります。
今年の給料明細から今年の年収を推定することで、寄付上限を正確に把握していきます。
練習:前年の給料明細と確定申告書控えから傾向をつかむ
医師は、さまざまな病院から給料をいただいていますので、源泉徴収票をもらう前に年収を計算をするのはコツがいります。
【計算するのに必要なもの】
- 2020年の給料明細、確定申告控え、源泉徴収票
- 2019年の給料明細、確定申告控え、源泉徴収票
まずは練習ということで、昨年までの書類をみて傾向をつかみます。
※今年の給与明細から計算する方法は後述
全体像 4種類の書類がカギ
【確定申告控え】【所得の内訳書】【源泉徴収票】【毎月の給料明細】の関係性
👆クリック拡大
見るべきポイントは限られますので、そこまで複雑ではありません。
年収と社会保険料を計算する3ステップ
【年収と社会保険料を計算する3ステップ】
step
1毎月の給料明細と【源泉徴収票の支払金額】と一致するものをさがす
その病院単体の年収が分かります
step
2毎月の給料明細の社会保険料の合計が【源泉徴収票の社会保険料等の金額】と一致
社会保険料が計算できます(常勤病院のみ)
step
3【所得の内訳書の収入金額】合計が【年収】
その年の推定年収が分かります
各書類の補足
【各書類の説明】
- 給料明細:毎月病院から発行されるもの
- 源泉徴収票:年明けに病院からおくられてくるもの
- 確定申告控え:2月~3月確定申告したときにつくるもの
確定申告書・所得の内訳書・源泉徴収票の関係
- すべての源泉徴収票の【支払金額】を足し合わせると年収になります
- 所得の内訳書の【収入金額】を足し合わせても年収と一致します
- 【所得の内訳書の各収入金額】は、【源泉徴収票の支払金額】と一致します👇
所得の内訳書とは
- 確定申告書控えの4枚目
- はたらいた病院、収入金額、源泉徴収額の3項目が記載されています
- バイトをしている医師は、何か所も記載があるはずです。
- 収入金額をすべて足していくと年収が計算できます。
ステップ1:給料明細から源泉徴収票の支払金額をみちびく
- バイト病院の源泉徴収表には、『支払金額』と『源泉徴収税額』の2か所だけ数字が埋まっています。
- 常勤病院の源泉徴収票は、上記にくわえて『社会保険料』が埋まっています
『支払金額』と『社会保険料※後述』は毎月の給料明細からおおよそ算出きます。
給料明細のこの項目を探す
【支払金額】に該当する給料明細の項目
- 課税対象額
- 課税支給額
- 給与
- 報酬
- 基本給
- 総支給額
※筆者が給料明細で確認できた表記です。上記以外の表現もあると思います。
※謝金や謝礼金と記載があれば、『謝礼+源泉徴収』が支払金額に該当します。
交通費は一定額までは非課税のため👆この中に含まれないことが確認できます。
表記方法が病院によってバラバラなので、『この病院はこの表記ね』と、チェックしていきます。
※源泉徴収票とピッタリと合致しないこともあります。
ステップ2:給料明細から社会保険料をみちびく
【社会保険料】に該当する給料明細の項目
おもに常勤病院の給料明細から計算します。
- 健康保険料
- 厚生保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料(40歳以降から支払開始)
上記4項目を足しあわせると、ピッタリと源泉徴収票と一致するはずです。
社会保険料の合計が、その年の社会保険料控除となります。
👆シミュレーションの社会保険料控除を埋めることができます。
そのあとにステップ3にうつります。
例1 年に数回のバイト病院A
毎月の給料明細の『報酬額』の合計=源泉徴収票の『支払金額』が一致しています。
A病院単体での年収は、6万円です。
例2 常勤のB病院(2021年度から勤務)
- 毎月の【課税対象額】を足すと、源泉徴収票の支払金額と一致します。
- B病院単体での年収は、106万円となります。
- 給料明細の【健康・厚生・雇用保険】を足すと、源泉徴収票の社会保険料と一致します。
- 常勤病院は社会保険料も計算します。
※ボーナスがあれば含めて計算します。
病院によって表現が異なるので覚えておくと来年ラクになります。
ステップ3:源泉徴収票の支払金額の合計が年収
すべての病院の推定年収をたし合わせると、その年全体の推定年収が分かります。
👆シミュレーションの年収を埋めることができます。
本番:2021年の給料明細から今年の年収を推測していく
前述までは、過去に勤務した病院の給料明細の『どの表現が源泉徴収票の支払金額と一致するのか』確認する作業でした。
ここからは、いよいよ今年の年収を推測していきます。
【用意するもの】
- 病院ごとの今年の給料明細すべて
源泉徴収票・確定申告書が手元にない時点で、給料明細から年収をひも解くという作業をしていきます。
【今年の年収を計算する4パターン】
- 2020年以前に勤務していて、2021年も勤務したバイト先(計算がカンタン)
- 2021年に初めて勤務したバイト先(推測必要)
- 給料明細をもらえなかった勤務先(推測必要)
- 常勤先を年度で転勤した(計算複雑)
①2020年以前に勤務していて、2021年も勤務したバイト先(計算がカンタン)
前述のA病院のように、源泉徴収票と一致する表現が答えが分かってるので、正確に計算ができます。
②2021年に初めて勤務したバイト先(推測必要)
【支払金額】に準ずる給料明細の項目
- 課税対象額
- 課税支給額
- 給与
- 報酬
- 基本給
- 総支給額
※上記以外で謝金や謝礼金と記載があれば、『謝礼+源泉徴収(後述)』が支払金額に準じます。
これらが給料明細にあれば、その合計が源泉徴収票と一致すると推測できます。
③給料明細をもらえなかった勤務先(推測必要)
この場合、手取りから推測します。
【支払金額】ー【所得税】+【交通費】=手取り
【支払金額】=手取り+【所得税】ー【交通費】
少なくとも支払金額は手取りより多い金額となります。
したがって、給料明細をもらえなかった勤務先は、ひとまず手取りの総額を支払金額として計算しましょう。
少なく見積もることになりますので、オーバーするリスクを回避できます。
④常勤先を年度替わりで転勤した(問い合わせ必要)
- 前常勤病院:1~3月まで勤務して退職
- 常勤病院:4月~12月まで
常勤は給料がいちばん多い勤務先ですので正確に計算したいところです。しかしながら、退職した場合、退職金などもからんできて、計算が複雑になります。
前常勤病院:1~3月まで勤務して退職
ですので、前の職場へお問い合わせをして源泉徴収票を取り寄せます。
常勤病院:4~12月まで
以前の源泉徴収票や給料明細から、おおまかに計算することが出来ます。
新規で勤務する常勤病院の場合、前述②のように推測できます。色んな手段を講じておおよその年収を把握することができます。
各病院の合計が、今年の推定年収となる
推定年収が分かれば、ふるさと納税の上限が分かる
控除上限額シミュレーション:正確なシミュレーション
👆年収と社会保険料を入力できます
かんたんシミュレーション:大まかなシミュレーション
👆かんたんシミュレーションを利用する場合、年収だけでOK
ただし上限より少なく計算されます。
【参考】ふるさと納税を活用するスケジュール
毎月、おおよその金額の返礼品を注文していき、11月くらいになったら正確な上限を計算していくのがベストです。
参考転勤予定のある方は、転勤が終わってから開始したほうがブナンです。
【対策】計算するのが厳しい方
今年のうちに、今年の年収を計算するには
- すべての勤務先の給料明細
- 過去の源泉徴収票や確定申告書
から推測していく必要があります。
という方は、下記をみておけば寄付上限を超えることことはまずないでしょう。
【最低限ココだけは見ておこう】
- 11月時点で、昨年の手取りと今年の手取りに大きくちがいが無いか
- 家族が増える、家を建てる、医療費が大きくかかるなどはないか
- iDeCoや生命保険を新しく始めた
- 大きく変わりのない人は、昨年の寄付上限の8割程度にとどめて寄付をする
- 昨年と変わりのある人は、変化した部分を考慮して慎重に寄付をする
- 迷ったら少なめに見積もっておく
iDeCoは全額所得控除、保険は4万円まで所得控除です。
これらを利用すると寄付上限が上がります。
参考万が一寄付上限を超えてしまっても、超えた分は少し節税効果があります。
それぞれのペースで、ふるさと納税を活用していきましょう!
まとめ
勤務医が寄付上限までふるさと納税を利用するには
- 毎月の給料明細から年収と社会保険料を計算
- 確定申告書と源泉徴収票があれば精密度があがる
- 上限ギリギリまで望まない人は昨年の年収を参考に8割程度におさえる
複雑そうに見えますが、慣れてしまうと毎年恩恵があります。
ぜひ一度トライしてみてください。
参考ふるさと納税について記事で体系的に解説しています。
- はじめ方
- えらび方
- 上限を正確に計算(当記事)
- 終わったあとの答え合わせ
END